
ーVoice.01
季節ごとに表情を変える
自慢のアスパラ。
美幌町から全国へ。
【アスパラ農家】中原 さん
【生産品目】アスパラ、小麦、澱粉用のばれいしょ、ビート、豆、その他
【生産品目】
アスパラ、小麦、澱粉用のばれいしょ、
ビート、豆、その他
【作付面積】全体:約20ヘクタール(20町) ビート:約7ヘクタール(7町)
【作付面積】
全体:約20ヘクタール(20町)
ビート:約7ヘクタール(7町)
この地が好きで、
農業をはじめて20年

現在は、美幌の特産品とも言えるアスパラガスを中心に生産しています。その他にも小麦や馬鈴薯、ビートを栽培しています。今年は少しですが豆も作り始めました。
私が農業を始めたきっかけは少し変わっていて、学生の頃から夏休みを使って北海道に旅行に来ていまして、その中でもこの地域、特に知床などオホーツクが好きになったんです。
普通は農業がやりたいから場所を探して北海道に来る方が多いと思いますが、私は北海道に住みたくて、その中で一番楽しそうな職業として農業にたどり着いたんです。
美幌町を選んだのは、当時独身だった私でも自営で農業を始めるための研修を受け入れてくれたことが大きな理由です。平成19年にこの美幌の地で就農しましたので、今年で20年目になります(2025年現在)。就農当初は畑作がメインでした。アスパラに関しては、大学の先生や種苗会社の方々が頻繁に来てくださって、その方々と話をしていくうちにどんどん知識を深めていくことができ、今に至っています。

四季によって変わる
美幌アスパラの旬
私が「美幌のアスパラを選んでほしい」と思うのは、その圧倒的な品質と、美幌の豊かな自然に育まれた恵みがあるからです。他の産地ではなかなか見られない、太くてジューシーで甘みが強いアスパラは、まさに美幌の大地が育んだ宝物だと自負しています。
また、一年を通じて異なる作型のアスパラを楽しめることも魅力です。春の瑞々しい甘さ、露地の青々とした風味、夏のさっぱりとした味わい、そして冬のハウスで育つ「冬姫」。それぞれの時期の旬の味を体験していただき、食卓に感動を届けたいと思っています。
アスパラというと「春の特産品」というイメージが強いと思いますが、美幌ではほぼ通年、アスパラの旬を味わうことができます。これは美幌のアスパラ栽培には「4つの作型」があり、4回の収穫時期があるからです。各々のおいしさをご紹介しますね。
どの収穫時期もその時期ならではの美味しさがありますので、ぜひ色々な食べ方で美幌のアスパラを味わってみてほしいです。

春のハウス栽培
4月の頭から始まって5月の下旬(20日頃)までに収穫されます。この時期のアスパラは、ジューシーで甘みが強く、ひたすら瑞々しいのが特徴です。私のおすすめは、焼肉の時に焼いたり、魚焼きグリルで表面を少し焦がしながら焼いて塩を振るなど、シンプルな調理法です。中に詰まったジュース感を存分に味わってほしいですね。茹でてしまうと「味が抜けて匂いが立つ」と感じる方もいるので、私はあまり茹でません。

露地物(ハウスではなく屋外で育ったもの)
露地物
(ハウスではなく屋外で育ったもの)
春のハウス栽培が終わると、バトンを受け継ぐように露地物が出荷されます。こちらはアスパラ特有の風味が強く、野性的な味わいが楽しめます。シンプルに茹でたり焼いたりして、そのまま食べるのが一番合うと思いますね。

夏のハウス栽培
9月下旬まで収穫が続く夏のハウスアスパラは、春のものと比べてさっぱりとした癖のない味わいが特徴です。アスパラが苦手な方でも食べやすく、様々な料理に活用しやすいです。

冬姫(伏せ込み栽培のアスパラ)
11月の終わり頃から翌年1月の20日頃まで楽しめる「冬姫」は、春のハウスアスパラに近い味わいです。シャキシャキとみずみずしく、甘くて鮮やかな緑色です。旨味成分のアミノ酸がたっぷり含まれ、リラックス効果が期待されるアミノ酸の一種GABAも豊富。
追求する、最高品質へのこだわり
追求する、
最高品質へのこだわり
私がアスパラ栽培において一番こだわっている点は、「朝しか収穫しない」ことです。
一般的なアスパラは1日に2回収穫されることが多いのですが、午後のアスパラは水分量が下がり、朝収穫されたものに比べて品質が下がると考えています。朝採りのアスパラはハサミを入れるとトロッと水分が溢れ、ボタボタと落ちてくるぐらい中に水が蓄えられており、これが一番美味しい状態だと考えています。
そして、もう一つの大切なこだわりは「こだわりすぎて技術を限定させないこと」です。
一見矛盾するようですが、アスパラの栽培技術はまだ発展途上で毎年新しい技術や情報が出てきます。「それまでの経験や技術に固執している場合ではない」と感じています。新しい情報を柔軟に取り入れ、自分自身で取捨選択を行うことで、常に最適な栽培方法を追求するようにしています。自営ということもあり、その判断は全て自己責任です。だからこそ、どんなことにも柔軟に対応できるようにしたいですね。


美幌の大地が育む
極上の一本

美幌町で育つアスパラは、他の産地と比べてもその品質とボリュームにおいて際立っています。なぜそのようなアスパラができるかというと、美幌には豊かな水と最適な気候といった美味しいアスパラが育つ条件が揃っているからです。 美幌の農業は「水がいい味だね」と評価されるほど水資源に恵まれています。アスパラ栽培の「適地」とされるのは、暑さと寒さの寒暖差が大きい気候であることと、比較的湿度が低いという条件があり、美幌の気候や環境はその条件に非常にあっています。昔、有名なレストランのシェフにアスパラを食べてもらった時、「作られた味じゃなくて、良い気候と水で育った味がするね」と言われたことがあります。
私も「美幌のアスパラは全国でも有数にうまい」と自信を持って言えます。オホーツク管内では生産量・面積ともにトップですし、遠からず全道でも指折りの産地になるだろうと思っています。

そしてさらに、美幌は太いアスパラを大量に出荷できる数少ない産地です。2L(33g~64g)、3L(65g以上)といった太い規格を多く出荷しており、特に3L以上の太さのものを、これだけの量でまとめて出荷できる産地は稀です。私の畑では、1本で166gにもなる極太アスパラが収穫されたこともありました。マジックペンと並べると、その太さが際立つほどです。東京の居酒屋では、3Lサイズのアスパラを丸ごと一本天ぷらにして提供されることもあるそうです。
アスパラの甘さや太さは、前年の秋にどれだけ養分を蓄えられたかに大きく依存します。前年の秋に気温が早く下がると、根に養分が蓄えられ、翌年のアスパラの品質が向上する傾向にあります。面白いことに、これは美幌で多く栽培されるビートの糖度とも連動すると言われています。
太いアスパラほど中の水分量が多く、甘い栄養をより多く溜め込んでいるため、ジューシーで甘みを強く感じられます。細いアスパラよりも太いアスパラの方が硬い繊維の量が割合的に少ないので、より柔らかく感じるはずです。

美幌だからこそ増える生産量
全国的にアスパラ産地が縮小傾向にある中で、美幌ではそれに反して作付面積は少しずつ増え続けています。これは若い生産者も多く、非常に熱心に栽培に取り組んでいるからこそだと感じています。
アスパラは長寿な作物で、私の畑では20年間同じ株から収穫を続けているアスパラもあります。連作障害などの課題に対しては、全国の事例や大学・種苗会社と連携し、新しい技術を積極的に取り入れることで、持続可能な栽培を追求しています。去年からは四国で導入されている新しい栽培方法も試していて、今のところ順調です。
ただ、現状「北海道産アスパラ」というブランドは確立されていても、「美幌産アスパラ」の知名度はまだ低いと思います。札幌の人でも美幌を知らない人が多いんです。だから私は「アスパラといえば美幌」というブランドイメージを確立したいと思っています。そうすることで、アスパラの価値をさらに高め、これから農業を始める人たちも安心して販売できる環境にしていきたいと考えています。
美幌アスパラをこれからも全国へ


アスパラ農家として一年の中で一番嬉しい瞬間は、やはり冬の雪が溶けてハウスの中を整備して最初の芽が出てきた時です。それは「よかった、生えてきた」という安堵と新しいシーズンが始まる喜びが入り混じった瞬間です。
もちろんたくさん注文をいただいてそれに応える喜びも大きいですが、こうして毎年、大地から新しい命が芽吹く瞬間に立ち会えるというのは、農家ならではの大きな喜びだと感じています。
これからもこの美幌の素晴らしい大地で、皆さんの食卓に美味しいアスパラを届けられるよう日々努力を続けていきたいと思っています。そして将来的には「アスパラといえば美幌」と全国の皆さんに胸を張って言えるようなブランドを確立したいです。そのためにも、首都圏の高級店などにも積極的に美幌のアスパラを届けていきたいと考えています。この美幌で育ったアスパラを、ぜひ一度味わってみてください。